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インターネットを目で見ることはできない

1力月5万円なら、個人商店主にとってもそれほど負担にならないはずだ。企業で考えれば、課長クラスで決済できる金額が5万円でもある。これが10万円になると、部長以上の承認を必要とする企業が多くなる……。出店数を増やすためには、どうしてもこのくらいの金額に抑えておく必要があった。楽天の人件費やサーバーにかかるコストを計算すれば限界に近い金額だった。しかも、楽天市場への出店者数が爆発的に増えていけば、月額5万円の固定費という出店費用は見直さなければならなくなることも分かっていた。サーバーへの負荷が増加すれば、システムへの多額の投資が必要になるからだ。サーバーというのは分かりやすく言えば、僕たち情報提供者側か使うコンピュータのことだ。サーバーに対して、一般のユーザーがインターネットにつないで使っているコンピュータのことをクライアントと呼んでいる。ちなみに、どちらもコンピュータであることに違いはないが、サーバーのコンピュータにはパソコンより大型で情報処理能力も高いものを用いるのが普通だ。楽天市場をスタートしたばかりのこの頃は、事務所内に数台のサーバーを設置すれば十分すぎるほどだった。現在の楽天は、数千台規模のサーバーを使っている。セキュリティ上の理由ももちろんあるのだけれど、コンピュータが放出する熱の総量のことだけを考えても、とても1ヵ所に集めて設置できる数ではない。日本国内の某所数力所にそれぞれ数千台のサーバーを収容するデータセンターを設けて稼働させている。一ヵ所のデータセンターは、それだけでも優にオフィスビル並みの大きさがある。その内部はコンピュータを効率よく稼働させるために、人間にとっては少しばかり低い温度に調節されている。そのひんやりした空間に足を踏み入れ、何千台ものコンピュータが黙々と作動している様子を眺めていると、自分たちがやっていることながら、いつも畏怖に似た思いにとらわれる。インターネットを目で見ることはできないけれど、その時ばかりはインターネットというものが、どれだけの巨大な宇宙であるかということがはっきりと実感できる。

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